エッセイEssay

留学時のボスとの別れ

私の尊敬する指導者であり上質なワインの愛好家であったRob MacDonald (Rob)が、2023年3月16日に亡くなった(享年76歳)。前年12月にスイスの自宅で転倒し、骨盤の手術から回復する途中、肺血栓塞栓症を併発し、療養先のモントレーの病院で息を引き取った。私は、1992年夏から、Ludwig Institute for Cancer Research, Lausanne Branch(スイス)に博士研究員として留学、RobのもとでNK-T細胞や腸管上皮内T細胞の研究をスタートした。私がスイスを離れてからも、Gerald Eberl(現Institut Pasteur PI)を含む複数の研究者がNK-T細胞研究を継続・発展させ、Robが引退するまで研究の柱の1つになったのは、私にとっても幸運であった。彼から学んだ最も重要なことは「研究者である前に、人としてフェアであれ!」。どこまで実践できているかは疑わしいが、今でも私の大切な人生訓になっている。特筆すべきRobの研究成果は「T細胞分化と機能」であり、2001年には、Highly Cited Researcher として認定、生涯300報以上の論文を執筆し、他研究者の論文で20,000回近く引用されている。2018年9月には、彼の引退に際し、40年のキャリアを持つ彼の研究への画期的な貢献を称える国際シンポジウムが開催され、私も発表の機会を頂いた。以下、Immunityに掲載されたRobの追悼記事と、Robの逝去に際し私が送った弔電メールを添えて、哀悼の誠を捧げる。合掌!

 

                                                                Immunity 56, May 9, 2023より抜粋