エッセイEssay

吉村先生の退任記念式典

2024年3月16日、吉村昭彦先生の退任記念式典がアルカディア市ヶ谷で行われた。昼過ぎから吉村研同門生の発表会、夜に祝賀会があった。吉村先生の同門生に対する父性愛、同門の方々の吉村先生に対する慕情に溢れた素晴らしい会であった。私も祝辞を述べる機会を頂いた(以下抜粋)。

ただいまご紹介に預かりました樗木でございます。吉村先生、この度は、無事にご退官を迎えられましたこと、誠におめでとうございます&大変おつかれさまでした。一貫して35年間サイトカインシグナル研究を行い、素晴らしい研究成果をあげ続けておられることに心から敬意を表します。研究の素晴らしさは多くの方の祝辞にも出てくると思いますので、私は敢えて、吉村先生らしい寄稿(記事)を1つ紹介したいと思います。今から24年前、ちょうど2000年に出版された免疫学会ニュースレターです。編集委員長は平野俊夫先生で「21世紀に輝く免疫学への熱き思い」という特集が組まれました。当時41歳?の若き吉村先生は「独創性とは何か」という大胆なタイトルで寄稿されています。まだネットで読めるので、読んでいない方はぜひ一読することをお勧めします。すぐれた発見には2つあり、1つは無から有を生み出す天才型、宝くじが当たるのに等しく、このような研究者はほぼいない。もう1つは、すでにアイデアが共有されている未解明の課題を、不断の努力や工夫や技術革新によって克服したもの。すぐれた発見のほとんどがこのタイプであり「純粋な独創性など存在しない」と述べています。その後、アイデアを実際に証明したものや実用化につなげたものに対しても独創的な研究という賛辞を与えても良いのかもしれないと軌道修正した上で、独創性の定義にこだわる必要はないとも。40歳そこそこでこんなド真ん中の豪速球を、多くの方の目に触れる場所で文字にする人をみなさんはご存知でしょうか?いかにも吉村先生らしい!私でも酒の勢いに任せて口走ることならできるかもしれませんが、せいぜいその程度です。吉村先生は今後東京理科大で研究の総仕上げをされると聞いています。また素晴らしい成果を拝見するのを大変楽しみにしております。この度は誠におめでとうございました。